PSAで鑑定されたトレーディングカードには、ある種のブランド力も付くために、普通に流通しているカードと比べて価格が高くなることも多くあります。
特に最高グレードとなるPSA10と鑑定されたカードは顕著で、カードショップやオークションなどで高値で取引されたり、専門に取り扱うショップが出てきたりもしています。
この記事ではPSA鑑定でのグレードと、鑑定品の価格の変化などについて解説していきます。
この記事を読んで分かること
- PSAグレードの特徴
- PSA10の価格相場
- PSA10を取得できる確率
これからPSA鑑定品をコレクションしようと考えている人や、実際に鑑定を依頼してみようと考えている人など、PSAのグレードや価格に興味がある人は是非参考にしてみてください。
目次
PSA鑑定のグレーディングとは
PSA鑑定には、カードが本物か偽物かという真贋判定以外にも、カードの状態を様々な観点から鑑定し、厳正な評価基準で、カードの状態を鑑定するサービスが含まれています。
このカードの状態を鑑定し評価をつける作業を「グレーディング」と呼び、PSA以外の会社でも鑑定を行っているサービスでは日常的に行われています。
PSA鑑定を利用する際の主目的であり、カードコレクターにとっても重点的に見ることになるポイントでもあるため、PSAによってつけられたグレードは非常に重要視されています。
PSAが数多くのカードゲーム・トレカの鑑定を請け負っていることもあり、日本で最も有名なグレーディングサービスもPSAと言って過言ではありません。
PSAグレーディングの特徴
PSAでは、鑑定されたカードの真贋判定以外に、様々なポイントを見てカードの評価をつける「グレーディング」がメインのサービスです。
鑑定サービスである以上、評価のための基準や特徴があるため、知っていればPSA鑑定品を購入する際や、実際に鑑定を依頼する際の参考になります。
まずPSAグレーディングの特徴や評価基準、そして注意点についても解説していきます。
PSAのグレードは11段階
PSA鑑定で定められているグレードは、全部で11段階に分かれて評価されます。
数字が大きい程評価が高く、小さい程評価が低い、という非常に分かりやすいシステムとなっており、日本のトレカ市場では8~10が最も多く取引されることが多いと言われています。
PSA鑑定における11段階のグレードを以下の表にまとめました。
PSA10 | Gem Mint | GEM MT |
PSA9 | Mint | MINT |
PSA8 | Near Mint-Mint | NM-MT |
PSA7 | Near Mint | NM |
PSA6 | Excellent-Mint | EX-MT |
PSA5 | Excellent | EX |
PSA4 | Very Good-Excellent | VG-EX |
PSA3 | Very Good | VG |
PSA2 | Good | GOOD |
PSA1.5 | Fair | FR |
PSA1 | Poor | PR |
以上のような形で、最低がPSA1、最高がPSA10となっており、多くのカードコレクターはPSA10のカードに価値を見出して購入や鑑定を日夜行っています。
グレード名についている「Mint(ミント)」といった表現は、PSA以外のところでもカードの状態を示す表現として使われているため、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
当然、状態の悪いものとして鑑定されたカードが市場に出回ることはかなり少なく、PSA7よりも下のグレードのカードを見かけることはほとんどありません。
独自の評価基準でグレードが決定される
PSA鑑定では、独自の評価基準を用いて、上で紹介した表のようにグレードを決定していきます。
評価基準について、はっきりと数値化されているわけではありませんが、例としてPSA10には以下のような特徴があると公式で紹介されています。
- カードの四つの角が完璧に尖っている(折れや削れで丸くなっていない)
- 画像のピントがしっかりと合っている(印刷がボケていない)
- 完全なオリジナルの光沢を保っている(汚れや日焼けなどがない)
- 画像がカードの中央に配置されている(印刷がカードの中央からズレていない)
とはいえPSAの鑑定基準であるため、ユーザー側では「このぐらいなら大丈夫かな?」という予想を立てる際に役立つ程度に留まる基準と考えておきましょう。
実際にはある程度キズや汚れがあってもPSA10と鑑定される場合もあるため、あくまで基準として定められている程度のものであり、鑑定ごと、カードごとで評価が変わることも少なくありません。
PSA10が完全な美品とは限らない
PSA10と鑑定されたカードが、完全な美品であるとは限りません。
上で解説した鑑定基準に沿っており、基準を満たしていればPSA10と評価されるため、単純な美品であるかどうかとはまた別問題になってきます。
もちろん、PSA10と鑑定されている以上は、一定以上の美品であることは間違いありませんが、カードによっては、ある程度のキズや汚れが許容されてしまっている場合もあります。
PSA10と鑑定されたカードに比べて、素人コレクターが保管している未鑑定品の方が傍目には美品だった、ということもあるため、注意が必要です。
PSA10に価値を見出すのであれば問題はありませんが、美品をコレクションしたい、という人にとって必ずPSA10がメリットになるとは限りません。
PSA10の価格相場
PSA10とグレーディングされたカードは、昨今カードショップや、オークションサイトなどでも頻繁に見かけるようになりました。
時には「カード1枚にこの値段?」と思わず驚いてしまうようなカードも存在していますが、全てのPSA10が手の届かない高額カードというわけではありません。
現在市場に流通しているPSA10カードの一般的な相場について解説していきます。
PSA10のカードは1万円を超える場合が多い
PSA10を獲得しているカードは、最低でも1万円を超えるようなカードであることがほとんどです。
PSA鑑定ではカード一枚につき最低でも2,640円という鑑定費用が掛かるため、必然的に出品・販売されているカードはある程度以上の高い価格でなければ利益が出づらくなります。
元々ある程度希少性が高いカードや、人気のあるカードなどがPSA鑑定に出されることが多く、未鑑定品の時点で高値がつきやすいカードがPSA10として出品されやすい、という側面もあります。
PSA10と鑑定が行われたカードで、数千円程度で購入できるものは、元々市場的な人気が高くないカードか、あるいは偽造品などの疑いも掛かかる場合もあるため注意が必要です。
未鑑定品に比べて2倍~5倍程度変動する
PSA10で鑑定されたカードは、未鑑定品に比べて、2倍から5倍程度の価格差が付くことがあります。
元々のカード価格が高ければ高いほど倍率は下がる傾向にありますが、同じカードであれば、間違いなくPSA10鑑定品の方が高額な価格が付きます。
PSA鑑定自体の信用度が高く、現状では一種のブランドとして確立されているため、PSA10と鑑定されている品はそれだけで一定以上の価値があるという証明でもあります。
未鑑定品の美品であれば数千円で購入できるカードが、PSA10鑑定品では2万円近くまで価格が跳ね上がる、といった事例もあるため、高く売れる見込みのあるカードは鑑定に出してみるのも一つの手です。
オークションなどの平均落札価格は3万円程度
PSA10を取得したカードは、オークションなどでは平均落札価格1万~3万円程度で落札されています。
画像のように、これまでにオークションに出品されたPSA10カードは複数存在し、価格もバラバラなのであくまで
「平均価格で計算すると1~3万円」
ぐらいの価格になるという程度の話です。
直近30日に出品された価格を参考にしているため、日や月によって大きく変動することもありますが、一般的なコレクターが手を出しやすい価格帯が1万円~3万円という見方もできます。
こういった落札履歴や平均価格は様々なサイトで調べることが可能であるため、自分がPSA10カードを出品する際や購入する際の参考にしてみるのがおすすめです。
PSA10を取得するには
PSA鑑定を実際に利用し、PSA10のグレードを取得するのは決して簡単なことではありません。
しかし、PSA鑑定を利用する人間が増えた現在では、本来は明らかにされていない審査基準なども、ある程度情報が共有されるようになってきています。
どんなポイントを押さえればPSA10を取得しやすくなるのか、そのためには何を心がけてカードを取り扱うべきなのかを解説していきます。
鑑定前にカードの状態をチェックする
PSA鑑定に依頼し、PSA10を取得したいのであれば、事前にカードの状態をしっかりとチェックしておきましょう。
PSA10を取るためには、傷や汚れ、折れや反りがないか、というポイントは当然として、カード自体の印刷が中央からズレていないか、といった運も絡んで来ます。
特に、カードの絵柄が印刷された表面が非常に重要で、傷や汚れの度合い・印刷ズレの有無などといった複数のポイントを総合して鑑定した時に、状態が良いと判断されればPSA10という結果に繋がります。
一方で、裏面に多少の傷や白欠け(カードが削れて下地が見えている状態)などがあっても、PSA10を取得しているカードはいくつも存在しています。
また、一般的に販売されているカードには特に「初期傷」と呼ばれ、印刷時や商品の販売時、既についてしまっている傷などもあるため、綺麗に保管・管理するだけではどうしようもない場合もあります。
カード開封時にも気を配る
PSA10の取得を狙う場合、カードパックを開封する際にも細心の注意を払う必要があります。
一般的に販売されているトレーディングカードのパックには、パックを切って開けるための切込み口などがありますが、ここから開けるのにもコツが必要になります。
慣れていないとパックを開ける際にカードの角部分を折ってしまったり、縁に凹みを作ってしまったりと、意外と傷をつけてしまいがちです。
パック開封時に傷をつけてしまうリスクを減らすには、多少面倒ではありますが、1パックずつ丁寧にハサミなどを利用してパックを綺麗に切るようにすると良いでしょう。
また、開封の際には手袋などを利用すれば、余計な汚れや指紋が付着するのを防ぐこともできるため、開封の際にも丁寧な準備を怠らないことが、PSA10取得への第一歩です。
PSA10を取得できる確率
鑑定費用も比較的高く、手軽に利用しやすいとは言い難いPSA鑑定も、やはり鑑定を依頼するのであれば、最高グレードであるPSA10を狙いたいものです。
ただ闇雲にカードを鑑定に出しても、望んだような結果通りになるのは難しいですが、抑えるべきポイントなどが分かっていれば確率を上げることも可能になります。
PSA鑑定を依頼した際に、PSA10を取得できる確率などについて解説していきます。
しっかり選別すれば7割~8割の確率で取得できる
上の項目で解説したポイントをしっかりと抑え、選別を行ってPSA鑑定を依頼すれば、PSA10は7割から8割ほどの確率で取得できます。
この確率についてはPSA鑑定品を専門に扱ったショップでも話題にされたことがあり、PSA10に選ばれやすい条件のカードを、しっかりと良い状態で保存することで可能です。
ただし、鑑定を行うのはPSA側であるため、依頼する側が望んだ通りの結果にはならない、ということも十分にありえます。
闇雲にカードを鑑定依頼しても、当然状態が良くなければPSA10を取得するのは難しく、鑑定費用も大きくなるため、カードの状態管理には常日頃から気を配っておくのがおすすめです。
開封してから鑑定に出すまで早いほど確率が上がる
パックなどを開封してから、鑑定に出すまでが早いほどPSA10を取れる確率は上がります。
もちろん、状態の選別や、初期傷のチェックなど最低限の確認は必要ですが、カードというのは保管している時間が長ければ長いほど劣化しやすくなります。
特に、ホロ加工などの特殊な加工がされたカードは湿気に弱く、反りやすいため、どんなに気を使って保管したとしても時間が経過するほどPSA10を取得しづらくなっていきます。
防湿庫を用意するなど、保管のための設備を用意しておくことも重要ですが、何よりも先にチェックを済ませ、早めにPSA鑑定を依頼する方が、良い結果に繋がりやすくなるのは間違いありません。
PSA10での最高落札価格
最後に、PSA10と鑑定されたカードの中で、過去に最高の価格が付いたカードについて紹介していきます。
PSA10と鑑定されたカードの中で、過去最高の価格、ギネスブックにも登録されたことで有名となったカードは、
ポケカの中の1枚である「ポケモンイラストレーター」
です。
このカードはコロコロコミック誌上で行われた企画の入賞商品として配布されたカードで、世界に現存している枚数は30枚以下とも言われている非常に希少なカードです。
熱狂的なファンも多いポケカ、かつ人気のポケモンであるピカチュウが描かれていることなどから、非常に高価なカードになってしまっています。
PSA10と鑑定された「ポケモンイラストレーター」は、アメリカのYoutuber「ローガン・ポール」氏が、個人間取引ではあるものの5,275,000ドル、日本円にしてなんと約6億4689万円という価格で取引しています。
ここまで高額なカードはPSA10鑑定品といえど、かなり珍しい相当なレアケースではありますが、PSA10の影響力の大きさを感じさせる話の一つです。
PSA10値段まとめ
PSA鑑定がコレクターの間で知名度が上がると同時に、ついて回るようになったPSA10も、決して一般的に手の届かない高額カードばかりというわけではありません。
一方で未鑑定品に比べて倍以上の価格になることもあるため、PSA10を取得することは、鑑定依頼を考えている人にとっては目標の一つにもなるでしょう。
購入の際はもちろん、カードを売却する際などにも関わってくるPSA10の値段や、グレーディングについて知っておいて損をすることはありません。