昨今トレーディングカードという物は、単なるコレクションアイテムというのみならず、一種の美術品のように非常に高価な価格で取引がされるようにもなりました。
そんな中で、トレカに関心がある人は必ずといっていいほど「PSA」「PSA鑑定」という言葉を聞いた事があるのではないでしょうか。
この記事ではPSA鑑定についての概要や、鑑定を依頼する際の費用などについて解説していきます。
この記事をよんでわかること
- PSA鑑定に必要なもの
- PSA鑑定への依頼方法
- PSA鑑定にかかる費用
PSA鑑定に興味があったり鑑定依頼を検討したりしている方は、ぜひチェックしてください。
目次
PSA鑑定とは
まず最初に、前提として「PSA鑑定」が何なのか、簡単に解説していきます。
PSA鑑定とは、様々なトレーディングカードなどを鑑定し、カードの状態を数値化してくれるサービスで、正式名称は
「Professional Sports Authenticator」
と言い、元々は「スポーツカード」と呼ばれるジャンルの鑑定を行うサービスとして、1991年にスタートしました。
現在では、ほぼ全てのトレーディングカードやコレクションアイテムの鑑定を請け負っており、鑑定の精度の高さなどから、カード価格の指標の一つとして重要視されています。
カードの状態によってPSA1~10の10段階でカードをグレーディングし、専用のケースに保存した状態にしてくれるため、カードコレクターにとっては非常に重要なサービスです。
2018年には日本支社が設立し、2023年7月からはオンライン申し込みによる鑑定が可能となったため、より利用するためのハードルが下がりました。
PSA鑑定を行う前に準備する物
まず最初に、PSA鑑定を行う際に必要となる、事前に準備しておくべき物について解説していきます。
鑑定を実際に依頼するまでに、カードの梱包から手続きなどのプロセスが多いため、事前に準備ができる物は全て用意しておくと、後々スムーズに行動に移せるようになります。
中には普段のカード保管には使わないような物や、専用に購入する必要がある物なども混ざってくるため、しっかりと準備しておきましょう。
鑑定に出したいカード
最も重要と言っても過言ではないのが、鑑定に出すための「カード」です。
基本的には最新で発売されたレアリティの高いカードや、古く希少な高いカードなど、価値が高くなる可能性のあるカードを主に鑑定に出す事になるでしょう。
PSA鑑定で受付しているカードの一例は以下の通りです。
- ポケモンカード
- 遊戯王OCG
- マジック・ザ・ギャザリング
- デジモンカード
- ワンピースカードゲーム
など日本でも人気のカードゲームは大体鑑定依頼が可能です。
挙げたタイトルはあくまで一例で、実際には現在流通しているカードゲーム・トレカのほとんどは鑑定依頼が可能です。
PSA公式サイトでは、鑑定可能なカードの一覧を記載したPDFも配布されているため、鑑定できるか気になる場合はそちらも確認してみましょう。
ただし、一部のカードゲームに存在している「センシティブな絵柄」のカードに関しては、鑑定自体が行えないと断られるケースも存在するため、事前に調べておくのがおすすめです。
カードセーバー
PSAに鑑定を依頼する際には、原則としてカードを「カードセーバー」と呼ばれる物に入れる事が推奨されています。
カードを保護するための商品という物は比較的多く販売されていますが、中でもカードセーバーは実質的にPSA鑑定専用のアイテムといっても過言ではありません。
スリーブなどよりも硬質な素材で作られており、値段も少々高くなるため、購入の際などはある程度纏まった数を購入しておくのがおすすめです。
Cardboard Goldというブランドの物を使うのが推奨されていますが、その他にもUltra Proなど、有名なメーカーからも販売が行われています。
Amazonなどでも取り扱いがあるため、購入の際には有名メーカーの物を選んで購入すれば、問題なく利用する事ができます。
透明スリーブ
カードを汚れなどから守るために、鑑定の際にはカード1枚1枚をスリーブに入れる必要があります。
コレクション目的・プレイ目的のどちらでも利用する事が多いカードスリーブですが、PSA鑑定に出す場合は
「透明なスリーブ」
と限定されています。
以下のようなスリーブは鑑定の際に弾かれてしまいますので注意しましょう。
- キャラクタースリーブなど絵柄がある物
- ハードタイプなど硬い物
- 各カードにたいして「ジャストフィット」するタイプの物
まとめると、鑑定を依頼する際には
「両面がクリア」かつ「ソフトタイプ」のスリーブ
のみを利用する事ができますので、事前にサイズに余裕がある物などを用意しておきましょう。
カードを「透明スリーブ」に入れ、その上で上記の「カードセーバー」に入れる、というのがPSA鑑定の際の基本となるため、鑑定を利用する前にしっかりと準備をしておきましょう。
梱包用のダンボールなど
鑑定するカードを、PSAに発送するための梱包用品も必要になります。
大まかに、用意しておくと良い物は以下の物が挙げられます。
- 梱包・発送用のダンボール
- 折れ対策のダンボール板
- 保護用の緩衝材(エアパッキン・プチプチなど)
- 濡れ・湿気対策のビニール袋
- カードを固定するための輪ゴム
と、このような感じです。
発送用のダンボール箱に関しては、大量のカードを鑑定に出すといった状況でない限りは、一般的な60サイズの箱を用意すれば問題はありません。
緩衝材は高価な物ではありませんが、購入すると非常にかさばる物でもあるため、通販などで買い物をした際に取っておくなどの工夫をするのがおすすめです。
また、必須ではありませんが「ジップロック」などの封ができるビニール袋などを用意しておけば、湿気対策にもなるため、気になるようであれば用意しておきましょう。
PSA鑑定への依頼方法
2024年現在、PSAへのカード鑑定依頼は、カードの発送を除き全てオンラインで行う事ができるようになっています。
アカウントの作成などの手間はありますが、手続き自体は基本的に画面内の案内通りに進めていくだけなので、それほど難しい内容ではありません。
アカウントの作成から実際の鑑定依頼・発送までの流れを解説していきます。
PSA公式サイトにてアカウントを作成
まず最初に、PSA公式サイトにて、アカウントを作成する必要があります。
公式サイトトップページ(https://www.psacard.co.jp/)にアクセスし、右上にある「申込み」ボタンを押すと下記画像のページに移動します。
既にアカウントを作成し終わっている場合は、そのまま鑑定申込みに移動できるため、アカウントを所持している場合は読み飛ばしても大丈夫です。
アカウントに利用したいメールアドレスを入力し、続行を押すと、続いてアカウント情報の入力画面に移動します。
必要事項を入力し、同意の部分にチェックを入れ、続行を押すと、登録したメールアドレスにワンタイムパスワードが送信されてきます。
届いたメール内のパスワードを入力する事で、アカウントの作成が完了します。
もしも確認メールが届かない場合、迷惑メールなどに振り分けられていないか、入力したメールアドレスが間違っていないかなどをしっかりと確認してみましょう。
オンライン申込受付センターから手続きを開始
アカウントを作成し、ログインを行った後は、いよいよカード鑑定の申込みを行います。
オンライン申込みセンターにアクセスし「開始」ボタンを押すことで、申込みを開始する事ができます。
ページ右側にある「新規申込」を押すと、カードの鑑定依頼の手続きを始められるため、画面の案内に従って手続きを進めて行きましょう。
新規の鑑定申込みは以下のような流れで行います。
- 鑑定したい物の種類を選択(ポケカなどはトレーディングカード)
- 申込みの種類の中から「グレーディング」を選択
- カードの枚数・申告価格の内容に合わせて「サービスレベル」を選択
- 鑑定したいカード名を入力・検索して選択
- 全て入力し終わったら価格を確認し「支払いへ進む」を選択
- 希望する支払い方法を選択
- 全ての内容を確認して注文を確定
大まかな流れはこのようになっていますが、カード名の入力は全て「英語」であるという点については注意が必要です。
日本語名での検索は行なえないため、ここは注意というかコツが必要になります。
鑑定したいカードを探すのが一番時間が掛かりますので、事前にカードの英語名などを調べておくのがおすすめです。
申し込み用紙・バーコードを印刷
注文が確定したら、PSAに登録したメールアドレス宛に、提出受付メールが送信されてきます。
メール内には申し込みの内容や、郵送期限・梱包の際の注意なども記載されているため、しっかりと熟読し確認しておきましょう。
その後は、注文確認ページ3部と、提出用のIDラベル(バーコード)を印刷しましょう。
注文確認ページは2部がPSAへの発送用、1部が自身で保管する控えとなります。
カードを梱包して発送
オンラインでの手続きが完了し、用紙の印刷などが終了したら、いよいよカードをPSAに送るための最後の準備をしていきましょう。
発送時の梱包の仕方としては、
- カードをスリーブに入れ、カードセーバーに入れる
- 大きめに切ったダンボールで挟んで折れ対策をする
- 輪ゴムで止めてカードが動かないようにする
- 緩衝材で包んだり隙間を埋めてカードを保護する
- 印刷した申込用紙を同封する
- しっかりとガムテープなどを使いダンボールを閉じる
- 最後にダンボールの外側にバーコードを張る
- 所定の運送業者を利用して発送する
と、上記のような流れで行えばOKです。
カードは申込用紙の上から順番に、ズレがないように重ねて行くようにしましょう。
折角高値が付きそうなカードを所持していても、ここで準備を怠って発送中にカードが傷ついてしまったり、折れたりしてしまっては元も子もありません。
作業時には清潔な手袋などを利用しつつ、丁寧に行うのがおすすめです。
梱包のコツなどは色々とありますが、とにかくダンボールの中でカードが動かないように固定し隙間を埋めるのがコツです。
また、発送は基本的にどの業者を利用しても良いとは言われていますが、配送事故などの保障はしっかりと付けた状態で発送することも心がけましょう。
PSA鑑定に掛かる依頼料・費用
次に、実際にPSA鑑定に依頼を行う際に掛かる費用・鑑定料などについて解説していきます。
基本的には申込みの際に申告した価格などで決まり、
- 鑑定料金
- 保険料及び送料
- 事務手数料
以上の3点が実際の料金として請求されます。
全ての鑑定が完了したタイミングで、PSA側から実際の料金が請求されてから支払いを行う事になります。
申込みをした時点では鑑定料金の試算であり、実際に支払う金額とはズレるケースも多いため、あくまで目安と考えて大丈夫です。
申込み用紙の記載と、発送したカードの順番がズレている場合は、別途サービス料として鑑定料金の5%が加算されるため、梱包の際には注意しておきましょう。
カードの鑑定料金
PSA鑑定では、カードの鑑定料金は「1枚毎」に決定され、申告価格によって変動します。
それぞれ申告価格による金額とプラン名を以下の表に纏めました。
プラン名 | 料金 | 申告価格 |
バリュー・バルク(20枚以上) | 2,640円 | ~50,000円 |
バリュー | 3,300円 | ~50,000円 |
レギュラー | 8,800円 | 50,001円~150,000円 |
XP | 16,500円 | 150,001円~250,000円 |
スーパーXP | 33,000円 | 250,001円~500,000円 |
WT | 66,000円 | 500,001円~1,000,000円 |
プレミアム1 | 110,000円 | 1,000,001円~2,500,000円 |
プレミアム2 | 220,000円 | 2,500,001円~5,000,000円 |
プレミアム3 | 330,000円 | 5,000,001円~10,000,000円 |
プレミアム5 | 550,000円 | 10,000,001円~25,000,000円 |
プレミアム10 | 1,100,000円 | 25,000,000円+ |
「バリュー・バルク」プランは「20枚以上を鑑定依頼しなければいけない」という条件付きのプランではある物の、最も鑑定金額が安くお得なプランとなっています。
この他にも、特定の期間限定で鑑定料金が安くなるサービスなども展開されており、バリュー・バルクよりもお得な価格で鑑定を依頼できる時もあります。
その他、一般的ではない「ジャンボサイズ」など、規格の違う特殊なカードなどを鑑定依頼する場合、3,300円の追加料金が掛かるため注意が必要です。
保険料と送料
PSA鑑定に依頼を行う場合、カード返却時の「送料」と「保険料」が含まれた料金も請求されます。
カードの枚数及び申告価格の合計によって変動し、他の手数料などと合わせて支払う必要があります。
枚数 | 申告価格 10万まで | 50万まで | 申告価格申告価格 150万まで | 250万まで | 申告価格申告価格 500万まで | 750万まで | 申告価格申告価格 1,000万まで | 1,500万まで | 申告価格申告価格 1,500万以上 |
1~8枚 | 1,900円 | 3,400円 | 4,200円 | 4,900円 | 6,100円 | 6,900円 | 8,400円 | 12,500円 | 13,600円 |
9~25枚 | 2,500円 | 4,000円 | 4,800円 | 5,200円 | 6,800円 | 8,300円 | 9,800円 | 13,500円 | 15,600円 |
26枚以上 | 1枚25円加算 | 1枚25円加算 | 1枚25円加算 | 1枚25円加算 | 1枚50円加算 | 1枚50円加算 | 1枚50円加算 | 1枚50円加算 | 1枚50円加算 |
保険料及び送料は以上の表のようになっており、申告価格とカード枚数が多くなる程高くはなりますが、基本的に枚数が多くなる方が一枚ごとの単価は下がっていきます。
事務手数料
鑑定料金などと合わせて請求される料金の一つに、事務手数料というものが掛かります。
この事務手数料に関しては、どんなプランなどで申し込でも、必ず一律で「550円」の料金が発生する決まりになっています。
PSA鑑定に利用できる支払い方法
鑑定が終わった後は、申込み時に選択したそれぞれの方法で、請求された料金を支払いましょう。
以前は日本からの鑑定依頼の場合、支払いにはPaypalが必要とされていましたが、2023年7月から日本国内での鑑定がスタートして以降は
- クレジットカード
- コンビニ払い
- 銀行振込
の3種類が利用できるようになり、Paypalは不要となったため、利便性が向上しました。
それぞれの支払方法について詳しく解説していきます。
クレジットカード
PSA鑑定の料金支払いに利用できる方法として、第一候補となるのはクレジットカードです。
振り込みなどの手間や手数料などを省き、オンラインで決済が行えるため、非常に手軽な方法でありクレジットカードを所有している人はこちらを利用するのがおすすめです。
利用できるクレジットカードは、
- VISA
- Master
- AMEX
- DISCOVER
の4種類が利用可能となっており、この内日本でもごく一般的に利用されているのはVISAとMasterの2種類です。
JCBなどのカードは利用できないため、所持しているクレジットカードが対応しているかどうか、申込時にしっかり確認しておきましょう。
コンビニ支払い
PSA鑑定の料金支払いには、コンビニ払いも利用する事が可能です。
全国のコンビニの店頭で支払いが行えるため、これも手軽な方法の一つではありますが、利用可能なコンビニが限られている点については注意が必要です。
対応しているコンビニは
- ローソン
- ファミリーマート
- ミニストップ
- セイコーマート
の4種類の店舗で可能となっています。
ご自身が住んでいる近くにこれらの店舗がある場合は、コンビニでの支払いを検討してみても良いでしょう。
ただし、鑑定時の料金が一定以上に高くなる場合では、申込みの際に選択する事自体ができなくなるというデメリットもあるため、注意が必要です。
銀行振込
鑑定料金の支払いに利用できる最後の方法は銀行振込です。
他の支払い方法に比べると、利用できる銀行などに制約はなく、オンラインバンキングなども利用できますが、利用している銀行によっては振込手数料が高くなるというデメリットもあります。
また、銀行振込では入金が確認されるまで時間が掛かるケースもあり、土日祝日などを挟むと更に遅れる事もあるため、利便性という面では少々難点が多くなります。
鑑定を依頼してからカード返却までの期間
PSA鑑定では、カードの状態の確認・専用のケースへの密封など、作業工程も多いため、実際に申込み・発送を行ってから、カードが返却されてくるまでにそれなりの期間が掛かります。
目安となる日数や、実際にどのような作業がPSAで行われているのか解説していきます。
45日~10日とプランによって変動する
カードの鑑定を依頼し、実際に手元にカードが手元に戻ってくるまでの期間は、プランによって大きく変わりますが、基本的に高額になるプランになるほど日数が短くなります。
具体的には、以下の表のように10日~45日程度と大きく変動します。
プラン | 納期 |
バリュー及びバリュー・バルク | 約45日 |
レギュラー | 約20日 |
XP以降のプラン | 約10日 |
ただし、日数はあくまでも目安となっており、実際にはPSA側の状況や、荷物の発送に掛かる日数などは含まれていないため、必ず最短日数でカードが到着するわけではありません。
また、カードの発送は鑑定料金の支払い確認がされてから約8営業日以内、となっているため、支払いが遅れればその分カードが返却されるまで時間がかかる事にもなるため注意が必要です。
昨今では運送業において人手不足が取り沙汰される事も多く、影響が出やすいタイミングもあるため、なるべく余裕をもって鑑定を依頼するのがおすすめです。
アカウントサービスで進捗を確認できる
PSAでは、アカウントサービスによって依頼した鑑定の進捗状況を確認する事ができます。
PSAのアカウントにサインインし、注文ページからオーダー番号を入力する事で、現在の進捗を細かくチェックする事が可能になっています。
アカウントサービス内では以下のような順序で進捗を確認できます。
- 注文処理の準備
- リサーチ
- グレーディング
- ホルダー密閉
- 品質チェック
- グレーディング完了
PSA鑑定での作業の流れは以上のようになっており、グレーディング完了までの作業が終わると、鑑定料金が算出され請求メールが届きます。
カードが返却される前に、カードの鑑定結果を確認する事もできるため、細かくチェックしたい場合はアカウントサービスを利用するのもおすすめです。
PSA鑑定への依頼まとめ
PSA鑑定は、現在カードをコレクションするのが趣味という人にとっては切っても切り離せない、非常に重要なサービスとなっています。
掛かる手間の多さや、鑑定料金などは決して安いとは言えませんが、価格の証明なども含め、利用する価値のあるサービスですね。
専用のケースへの封入なども行ってくれるため、自前のコレクション保管のために利用してみるのも一つの手ではないでしょうか。